2004年10月

試験研究タックスクレジット(税額控除)
(Le Crédit d’Impôt Recherche)


試験研究税額控除を享受できるのは、実際の利益により課税されている産業・商業・農業分野の企業です。
この税額控除は前2年の平均と比較した試験研究費の増加に基づいて計算されます。
この制度は納税者の選択により適用されるものです。
2004年からは、税務申告時に選択をするということになりました。
申告用紙2069Aをもってこの制度を選択することを申告します。

試験研究税額控除の計算の対象となるのは、基礎・応用試験研究についての経費、又、実験的開発活動についての経費も含まれます。
これらの経費は規定により限定されていますが、それは次のとおりです。

− 実際に試験研究にかかわっている試験研究者・技術者か、少なくとも独占的に試験研究活動にかかわっている人に対する報酬(社会保障費を込む)。事務関係・器具のメンテナンスにかかわる人の報酬は対象となりません。
− 試験研究活動に直接充てられた設備固定資産減価償却費、

− 将来の試験研究のために取得した特許権の償却費、
− 公私の外部試験研究組織、大学、試験研究省により認可された科学者に依頼した試験研究活動費用、
‐ 公益の任務をもった技術センター。
− 特許保護・メンテナンス費用。
又、
− 試験研究税額控除対象となる試験研究活動のために支払われた公的な助成金はその助成金が払われた年の税額控除計算のベースから控除しなければなりません。
その上、
− 上記試験研究者等の報酬75%は自動的に活動経費として計算ベースに計上されます。

企業の会計期間・決算日にかかわらず、税額控除は暦年で計算されます。
この税額控除の金額は、当年度の試験研究費の5%と過去2年の試験研究費の平均値から変動した金額の45%です。過去2年の平均値はインフレ率を考慮し評価替えしたものをとります。
試験研究費がはじめて発生した企業においては、税額控除は試験研究にかかわる年間経費の50%ということなり、この年間経費額が翌年の税額控除の計算ベースとなります。
この税額控除は各企業につき800万ユーロを限度とされています。
過去2年の平均に比べて本年度の試験研究費が減少した場合、その減少額の45%が今後5年間の試験研究費増加分から控除されます。
この税額控除は、この試験研究経費が発生した年の分としての納税する税金(多くの場合は法人税・または所得税)から控除されます。企業年度が暦年でない場合は翌年に終了する会計年度に課税される税から控除されます。
法人・所得税から控除されなかった、つまり、納税すべき税額を超過した分は国に対する企業の債権(非課税の債権)となり、それが確認された年から3ヵ年有効です。3年間に控除されなかった分は税務署から還付されます。
この税額控除は、普通税率(33.33%)で計算された法人税からのみ控除されます(法人税加算分・定額法人税を除く)。
この税額控除の計算は税務署及び試験研究省による監査の対象となります。



[例]
会計年度末2004年3月31日の企業、はじめて試験研究費が発生。
暦年2003年度の試験研究費は以下の通りと仮定します。

−試験研究者の社会保障費を含む給与
125.000ユーロ
−試験研究者の秘書の給与
対象外
−活動経費 : 125.000ユーロの75%
93.750
−試験研究設備の減価償却費
75.800
−外部に依頼した試験研究費
25.400
−公的助成金
−65.200

経費合計
257.750
 

過去2年の試験研究費
2001年   125.000 x 1.04042(インフレ率) =
130.052
2002年   200.000 x 1.02077(インフレ率) =
204.154

合計
334.206

2年の平均
167.103ユーロ
    
従って、試験研究税額控除は
(257.750 − 167.103)x 50% = 45.323ユーロ
となります。