2003年1月

【2003年度予算法】

2003年度予算法が発表されました。その主要点を以下にまとめてみます。

I.法人税の税率
II.親子会社間税制
III.小規模企業税制
W.在外国親会社に支払われる利息の控除
X.定額法人税
Y.乗用車税
Z.付加価値税
[.事業税
\.給与税
].連帯税
]T.個人税制関連



I.法人税の税率

法人税 (IS =Impôt sur les Sociétés) の基本税率は、1993年度以来33.33%と定められています。

この税率は1995年度修正予算法により10%加算され、従って1995年1月1日以降終了の事業年度から、実質的に、法人税率は36.66%に引上げられた結果となっています。

この加算された10%が引下げられました :


2002年2003年に終了する事業年度 3%

    33.33+ (3% x 33.33) = 34.33

例えば、




2002年12月31日に終了する事業年度

34.33%の税率。
同じく




2003年3月31日に終了する事業年度
34.33%の税率。


II.親子会社間税制

同一企業グループ内の親会社・子会社間の配当に関する税制に於いて、フランスの親会社はタックスクレジットを含む配当金の5%を課税所得に加算する事を条件に、受取った配当額を課税所得から控除(益金不算入)する事が認められています。

子会社の少なくとも5%の株式を所有している会社だけが、この制度の恩典を受けられます。このパーセンテージは昨年度と同様です。


III. 小規模企業税制

小規模企業の38120ユーロまでの利益に対して軽減税率の適用がなされます。

普通税率である33.33%の代わりに
2002年度開始年度については15%

しかしながら、この税率が適用されるには、企業は次の2つの条件を満たさなければなりません :

・ 売上高が763万ユーロ未満である事、
・ 株式の75%が一人、又は複数の個人に属している事。

従って、外国企業のフランス法人については、実際にはこの適用は難しいといえるでしょう。


IV. 在外国親会社に支払われる利息の控除

普通、海外の親会社への支払い利息のベースとなる借入金の、子会社資本金1.5倍の額を限度として、利息の控除が認められています。

2002年7月11日のCergy Pontoise行政裁判所判決(従って予算法ではない)は、欧州での平等を理由にこの限度を適用することを拒否しました。
よって基本的には、ヨーロッパに親会社がある場合は、資本金の1.5倍を越えた分についても利息は損金とみなされることになりました。

しかしながら、欧州以外の、日本・アメリカの親会社の場合は、今までと同様に、1.5倍の限度が適用されます。


X.定額法人税

定額法人税(IFA=Imposition Forfaitaire Annuelle)に於いては変更は見られません。


売上高

税額
76 000 €
以下

0 €
76 000 €

149 999 €
750 €
150 000 €

299 999 €
1 125 €
300 000 €

749 999 €
1 575 €
750 000 €

1 499 999 €
2 175 €
1 500 000 €

7 499 999 €
3 750 €
7 500 000 €

14 999 999 €
15 000 €
15 000 000 €

74 999 999 €
18 750 €
75 000 000 €
以上

30 000 €

この税金は納付期限が3月15日で、赤字企業にとっては費用となりますが、黒字企業にとっては法人税の予定納税を構成し、支払うべき法人税からの控除が認められています(納付の年および翌2年間内)。

Y.乗用車税

2002年10月1日から2003年9月30日までの期間に、企業が所有またはリースしていた乗用車に課される乗用車税(Taxe sur les Voitures de Société)の税額は前年度と同様です :

・ 登録馬力が8馬力以上の乗用車 ・・・・・・ 2 440 €
・ 登録馬力が7馬力以下の乗用車 ・・・・・・ 1 130 €


Z.付加価値税

普通税率
19.60%
軽減税率
5.50%
超軽減税率
2.10%

従来どおり3つの税率が存在し、その税率は上記のとおりです。次の2点に注目ください。

a. 建築されて2年以上たった住居の改善、改築、維持についての工事費は、あと1年間(2003年12月31日まで)軽減税が適用されます。

b. 2002年5月27日の参議院決定により、接待費(レストラン・レセプション・スペクタクル)のTVAについては、被接待者の分だけでなく、自社の経営者・従業員の分も控除できるようになりました。
しかしながら、自社の経営者・従業員の宿泊費のTVAは依然として控除することはできません。


[.事業税

1.給与部分の課税ベースの削除

事業税(Taxe Professionnelle)の課税ベースとしては、従来、次の2種の項目が存在していました :
・ 企業が所有またはリースしている有形固定資産の賃貸価格
・ 支給した給与額の18%

2003年度の事業税より雇用を活発化するため、給与に関する部分の課税ベースが完全に削除される事になりました。

同税は事業所単位で課税される為、企業が複数の事業所を所有している場合、上記の控除措置も各市町村毎、各事業所毎に適用されます。

2.税額の上限

同税の納付に当たり、税額に上限を設定する可能性が企業に対して認められています。この上限額は、対象年度内に企業が生み出した付加価値に一定の率を掛けて算定されます。企業の売上高(税抜)に従って、以下の3つの掛率が存在します :

・ 課税対象年度の売上高が2135万ユーロ未満の企業は3.50%
・ 同売上高が2135万ユーロから7622万5千ユーロ未満の企業は3.80%
・ 同売上高が7622万5千ユーロ以上の企業は4.00%

1999年度の事業税以降、当該付加価値税の算定に当たって従来控除の対象とされている仕入外部費用の中から、動産・不動産の賃借料が除外されました。

3.税額の下限

課税対象年度の前年(歴年)の売上高(税抜)が760万ユーロ以上の企業を対象に、上述の付加価値の一律1.5%の税額の下限が設定されています。



\.給与税

給与税(Taxe sur les Salaires)は、原則として、駐在員事務所や団体等、TVAの課税対象となっていない企業がその従業員に支払った給与に対して課されます。

今年度もベースになる給与額が以下のように引上げられました :

年次グロス給与額
税率
6 675 € 以下
4.25%
6 676 € − 13 337€
8.50%
13 338 € 以上
13.60%


].連帯税

連帯税(ORGANIC)の課税基準となるのは企業の税抜きの売上高で、具体的には、月次のTVA申告書上に記入された数字の、歴年の合計額に相当します。

同税の税率には改正がなく、今年度も0.13%が適用されます。
当該売上高が760 OOO € 未満の企業は、この税を免除されます。


]T.個人税制関連

1.所得税

2003年度納付の2002年度所得税の税率は昨年度より引下げられ、又課税所得の各区分の上限額はインフレ率に相当する1.7%引上げられます。
以下に2年間の税額算定表の比較を、家族係数1の場合を例にとってみましょう :


2001年度所得税(2002年度納付)

2002年度所得税 (2003年納付)

課税所得(€)
税率(%)
課税所得(€)
税率(%)
4 120 以下
0
4 190 以下
0
4 121 – 8 103
7.5
4 191 - 8 241
7.05
8 104 – 14 263
21
8 242 – 14 505
19.74
14 264 – 23 095
31
14 506 - 23 488
29.14
23 096 – 35 578
41
23 489 – 38 217
38.54
35 579 – 46 342
46.75
38 218 – 47 131
43.94
46 343 以上
52.75
47 131 以上
49.58

2.家庭に於ける雇用経費の上限の上昇

家庭で雇用する経費(ベビーシッター・家事手伝いなど)は50%の控除の対象となりますが、その上限額が6 900€ から10 000€に増加しました。

3.富裕連帯税

富裕連帯税(ISF= Impôt de Solidalité sur la Fortune)の課税対象となる資産の最低額は720 000 € に、課税対象額の各区分の上限額は、昨年予算法と同様、現行のままに据え置かれました。













2003年度の予算法に於いて目立つ変化は、個人所得税の課税所得枠上限が昨年度に比べ高くなっていることと事業税の減少だという事ができましょう。