2004年10月

【2005年度予算法案

2005年度予算法案が発表されました。その主要点を以下にまとめてみます。

T.法人税の税率
U.フランスに再移転する企業に対するタックスクレジット
V.定額法人税

IV付加価値税
V. 事業税(Taxe Professionnelle)
Y給与税
Z
個人税制関連



I.法人税の税率

法人税 (IS =Impôt sur les Sociétés) の基本税率は、1993年度以来33.33%と定められています。

この税率は1995年度修正予算法により10%加算され、従って1995年1月1日以降終了の事業年度から、実質的に、法人税率は36.66%に引上げられた結果となっていました。

この加算された10%が2002年から3%に引下げられました :


2002年2003年2004年に終了する事業年度    3%

    33.33+ (3% x33.33) = 34.33%の税率。
2005年に終了する事業年度については、この付加税率は1.5%となります。
2006年1月1日以降、この加算税は廃止される予定です。
例 】




2005年3月31日に終了する事業年度



33.33% + (1.5% x 33.33%) = 33.83%







2006年3月31日に終了する事業年度は、付加税なしの法人税率33.33%のみとなります。

2004年度予算法で採択された、欠損金無期限繰越と試験研究タックスクレジットは、2004年1月1日から適用されています。


 II.フランスに再移転する企業に対するタックスクレジット

今回の予算法は、過EU圏外に事業活動を移した企業が2005年1月1日から2007年12月までにフランスに再移転する場合、新たな法人税のタックスクレジットを提案しています。
このタックスクレジットは新規雇用にかかわる人件費、あるいは、投資費用がベースとなります。
このクレジットを享受するために企業は、
5年間、人材の雇用および投資を維持しなければなりません。
しかしながら、このクレジットには限度が定められています。地域開発プライム(PAT)が受けられるゾーンの場合は、投資か新規雇用費用の30%、その他の地域の場合は、3年間で100.000ユーロが限度とされています。


V.定額法人税

定額法人税(IFA=Imposition Forfaitaire Annuelle)に於いては変更は見られません。

この税金は納付期限が3月15日で、赤字企業にとっては費用となりますが、黒字企業にとっては法人税の予定納税を構成し、支払うべき法人税からの控除が認められています(納付の年および翌2年間内)。



売上高

税額
76 000 €
以下

0 €
76 000 €

149 999 €
750 €
150 000 €

299 999 €
1 125 €
300 000 €

749 999 €
1 575 €
750 000 €

1 499 999 €
2 175 €
1 500 000 €

7 499 999 €
3 750 €
7 500 000 €

14 999 999 €
15 000 €
15 000 000 €

74 999 999 €
18 750 €
75 000 000 €
以上

30 000 €



 
IV付加価値税

普通税率
19.60%
軽減税率
5.50%
超軽減税率
2.10%

従来どおり3つの税率が存在し、その税率は上記のとおりです。


V. 事業税(Taxe Professionnelle) 

a. 新規投資に対する暫定的免税措置

2004年1月1日から2005年6月30日までに実施された投資のうち、定率法で償却できる有形固定資産についてはその賃貸価値をベースとする事業税の免除がすでに予定されていました。(2004年8月9日法)

2005年予算法案はこの適用期間を2005年12月31日までに延長する見込みです。

b. 雇用地域、産業域による事業税のクレジット

次の企業は、雇用して1年未満の従業員1人に対して、1000ユーロの事業税タックスクレジットが受けられます。

- 産業活動、科学・技術研究活動、管理サービス・情報・エンジニアリング研究活動を行っている企業で、
- 企業転出により雇用不足が厳しい地域に在る企業。この特定地域は、2009年まで、毎年政令により認定され、次の地域を含みます。
・ 過去4年において、新雇用率がほとんど上昇しない20地域、
・ 産業再編成(企業リストラ)が行われた10地域。


Y給与税

給与税(Taxe sur les Salaires)は、原則として、駐在員事務所や団体等、TVAの課税対象となっていない企業がその従業員に支払った給与に対して課されます。

2005年度もベースになる給与額が以下のように引上げられます :

年次グロス給与額
税率
6 905  € 以下
4.25%
6 906 € − 13 793 €
8.50%
13 794 € 以上
13.60%
親会社からの一定期間の出向者は、この給与税ベースの対象とはなりません。


Z個人税制関連

1.所得税

2005年度納付の2004年度所得税の税率は昨年度と同率で、課税所得の各区分の上限額はインフレ率(タバコを除く)に相当する1.7%引上げられます。
以下に2年間の税額算定表の比較を、家族係数1の場合を例にとってみましょう :

2003年度所得税(2004年度納付)

2004年度所得税 (2005年納付)

課税所得(€)
税率(%)
課税所得(€)
税率(%)
4 261    以下
0
4 333 以下
0
4 262 –  8 381
6.83
4 334 -   8 523
6.83
8 382 – 14 752       
19.14
8 524 – 15 003
19.14
14 753 – 23 887
28.26
15 004 - 24 293
28.26
23 888 – 38 867
37.38
24 294 –  39 528
37.38
38 868 – 47 931
42.62
39 529 –  48 746
42.62
47 932以上
48.09
48 747 以上
48.09

2.相続税と贈与税

2005年1月1日から、これらの税は減税される予定です。
- 50.000ユーロの全体からの控除、
- 子供・親に対する個人控除が46.000ユーロから50.000ユーロへ増加。

3.預金税制

2005年以降に申し込んだ長期預金契約(Assurance Vie)は、最低30%が非上場企業の株に運用されていることと、契約期間が8年以上であることを条件に、所得税から控除される見込みです。

4.テレビ視聴税

2005年1月1日より、個人のテレビ視聴税は自宅の住民税に加えて徴収される予定です。 税額は116ユーロとなる見込みです。

5.家庭に於ける雇用経費の上限

この経費の上限は、2004年1月1日から支払われた経費については7.400ユーロから10.000ユーロに上昇し、2005年1月1日以降の経費については、15.000ユーロとなる見込みですが、これについてはまだはっきりと決まっておりません。
家庭で雇用する経費(ベビーシッター・家事手伝いなど)の50%が控除の対象となります。 

6.富裕連帯税

富裕連帯税(ISF= Impôt de Solidalité sur la Fortune)の課税対象となる資産の最低額は720 000 € 、又、各区分の上限額はインフレ率に相当する1.7%上昇する見込みです。主要住居の控除率は20%から30%に増加するようです。この税に関しては、現在国会で審議中です。













2005年度の予算法案に於いて目立つ変化は、次の点でしょう。

− 企業にとっては、投資とフランスへの再転入に対する援助、
− 個人にとっては、相続税軽減とまさに今、審議中の富裕連帯税。