【2006年度予算法案】
2006年度予算法案が発表されました。その主要点を以下にまとめてみます。
法人税 (IS =Impôt sur les Sociétés) の基本税率は、33.33%と定められています。
この税率は1995年
度修正予算法により10%加
算され、従って1995年1月1日以降
終了の事業年度から、実質的に、法人税率は36.66%に引上げられた結果となっていました。
この加算された10%が2002年 から3%に引 下げられました :
2002年2003年2004年に終了する事業年度 3% |
|
33.33+ (3% x33.33) = 34.33%の税率。 |
2005年に終了する事業年度については、この付加税率は1.5%となります。2006年1月1日以降終了する事業年度から、この付加税は廃止されます。
2005年12月31日に事業年度が終了する企業の場合
33.33% + (1.5% x 33.33%) = 33.83%
2006年3月31日に終了する事業年度は、付加税なしの法人税率33.33%のみとなります。
2004年より、欠損金の繰越は無期限で可能になりました。
2006年より、定額法人税(IFA=Imposition Forfaitaire Annuelle)は従来のように法人税からの控除 とは認められず、利益からの控除可能な税として扱われる予定です。
現在この税は、法人税の前払金という形になっており、こ の税金が支払われた年、及び翌2年以内に計上される法人税額からの控除が可能です。
控除が適用できない赤字企業にとっては最終的に税務上の 損金となります。
2006年より発生する定額法人税に関しては、課税対象利益からの控除 可能な税とみなされる見込みです。
2005年度までに納付すべき定額法人税について変化はありません。2005年、2006年、2007年の予定納税より納付する法人税からの控除が認められています。
また従来定額法人税は、税込みの売上高をベースに税額が 決められていましたが、2006年からは税抜きの売上高がベースとなります。
2006年度の定額法人税額は以下のように予定されています。
売上高 (税抜き) | 税額 | ||
200 000 € | − | 299 999 € | 700 € |
300 000 € | − | 749 999 € | 1 300 € |
750 000 € | − | 1 499 999 € | 2 000 € |
1 500 000 € | − | 7 499 999 € | 3 750 € |
7 500 000 € | − | 14 999 999 € | 15 000 € |
15 000 000 € | − | 74 999 999 € | 18 750 € |
75 000 000 € | − | 499 999 999 € | 30 000 € |
500 000 000 € 以上 | 100 000 € |
III. 試験研究タックス クレジット
試験研究タックスクレジット(税額控除)をさらに推奨す る傾向が今年の予算法案に見受けられます。
2004年1月1日より、この税額控除の金額は、当年度の試験研究費の5%と過去2年間に遡る試験研究費の平均値から変動した金額の45%です。
2006年1月1日以降発生した試験研究費に対しては、当年度の税率5%から10%、税率45%から40%になる予定です。
2005年の税額控除においては、博士号保有者の研究経費限度は従来の2倍まで、また研究機関に委託した試験研究活動費用の限度額の増額を予告しています。
W. 過少資本
2007年1月1日よりEU圏内条項の承認に基づき過少資本に対する限度を決めることが予定されています。 2つ観点から同系列企業に対して支払われる利子の控除が認められます。
−利率の制限
−関連企業全 体の負債額に対する制限
V.延滞利息
2006年1月1日より、納税者が税務当局に支払う延滞利息の利率が年9%から4.8%に変わる予定です。反対に税務当局から支払われる延滞利息については同じ4.8%になる予定です。ちなみに2005年は2.05%でした。
普通税率 |
19.60%
|
軽減税率 |
5.50%
|
超軽減税率 |
2.10%
|
VII.給与税
給与税(Taxe
sur les
Salaires)は、原則として、駐在員事務所や団体等、TVAの課税対象
となっていない企業がその従業員に支払った給与に対して課されます。
2006年度もベースになる給与額が以下のように前年度比1.8%引 上げられます :
年次グロス給与額
|
税率
|
7 028 € 以下 |
4.25%
|
7 029 € − 14 041 € |
8.50%
|
14 042 € 以上 |
13.60% |
VIII.2005年度個人税制関連
1.所得税(IR)
2006年度納付の2005年 度所得税の税率は昨年度と同率で、課税所得の各区分の上限額はインフレ率(タバコを除く)に相当する1.8% 引上げられます。
以下に2年間の
税額算定表の比較を、家族係数1の場合を例にとってみましょう
2004年度所得税(2005年度納付) |
2005年度所得税 (2006年納付) |
||
課税所得(€) |
税率(%) |
課税所得(€) |
税率(%) |
4 333 以下 | 0 |
4
411 以下 |
0 |
4 334 – 8 523 | 6.83 |
4 412 - 8 676 | 6.83 |
8 524 – 15 003 | 19.14 |
8 677 – 15 273 | 19.14 |
15 004 – 24 293 | 28.26 |
15 274 - 24 730 | 28.26 |
24 294 – 39 528 | 37.38 |
24 731 – 40 240 | 37.38 |
39 529 – 48 746 | 42.62 |
40 241 – 49 623 | 42.62 |
48 747以上 | 48.09 |
49 624 以 上 | 48.09 |
2006年1月1日から、各種の項目において減税される予定です。
3.富裕連帯税
富裕連帯税(ISF= Impôt de Solidalité sur la Fortune)の 課税対象となる資産の最低額は750 000 €、又、各区分の上限額はインフレ率に相当する1.8%上 昇する見込みです。この税に関しては、現在国会で審議中です。
IX.所得税改正案
2006年度予算法案の中でも最も注目すべき点は、所得税改正が2006年度個人所得税が対象となり、従って納付は2007年ということです。まとめると以下のようになります。
1.2006年度所得税(IR)の税率は5.5%から40%まで、5段階の課税所得に分かれます。
課 税所得 |
税率 |
5 514 € 以下 | 0 |
5 515 € − 10 845 € | 5.50% |
10 846 € − 24 431 € | 14.00% |
24 432 € − 65 558 € | 30.00% |
65 559 € 以上 | 40.00% |
2.給与および手当、また税務管理を専門家に委託している独立自営労働者の所得に対して適用されていた20%控 除がなくなる予定です。
3.不動産所得にかかる14%の定額控除が削除される見込みです。
4.配当金控除が50%から40%に引き下げられます。
5.同年度内で納税者に還付される税額措置の上限額が8,000ユーロとなる予定です。
6.納税者から直接支払われる税は、所得の60%を 超えることは出来ないとする原則を明記した制限税率の規定設置が予告されています。
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この予算法案は多くの改革を示唆しており、2006年においても、また今後においても実際に施行するにはさらに明確にしていく必要があります。